顎骨オルガノイドで骨再生へ。

京都大学CiRA（iPS細胞研究所）は2025年7月2日、
人のiPS細胞から顎骨オルガノイドを世界で初めて成功裏に作製したと発表しました。これ、ただの“ミニ顎骨”ではありません。

マウスに移植すると血管が入り込み、本物の骨として機能するレベルに成熟するという驚くべき成果です。

なぜこれは画期的なのか？
顎骨疾患の切実な問題に直面。
歯周病や顎骨骨髄炎は、骨が溶けてしまうと自然には戻りにくく、広範囲になると摂食障害に直結するリスクもあります。
その重症顎骨疾患に対して、「人の顎骨そのもの」を再現し治療に活かせるモデルの実現は、まさに悲願でした。



わずか1.5mmの“本物の骨”を作製
iPS細胞を神経堤細胞へと誘導し、膜内骨化による骨形成を再現。

ミニとはいえ“顎らしさ”を持つ骨を立体的に構築し、移植後4週間で血管侵入・成熟骨へと変化しました。

難病モデルとしての価値
骨が脆く折れやすくなる骨形成不全症の患者由来iPS細胞からもオルガノイドを作製し、遺伝子修復によって正常化できることを確認 。
病態解明や治療法開発に直結する実績です。

顎骨疾患に光を当てる応用可能性
顎骨骨髄炎：歯周病など由来で骨内部に細菌が侵入し炎症を引き起こします。再生治療のニーズは極めて高い。

歯周病：歯を支える骨が溶けることで歯の喪失に至る厄介な疾患です 。
再生医療としての移植体開発：従来の骨移植に対し、iPS由来の顎骨オルガノイドが置き換わる日は近いかもしれません

研究が未来にもたらす影響


※応用領域 　　　　　※内容

歯科・顎顔面外科 骨欠損の修復素材として活用可能
創ヤク・モデル開発 難治性顎骨疾患の病態解析に最適
個別化治療 患者由来モデルで最適治療の選定が迅速化

硬組織オルガノイド研究 骨＋他の組織で複合モデル構築へ進化が期待

さらに、クランキーな硬い臓器である“骨”にオルガノイド技術が成功したことで、
他臓器モデルとの統合による複合臓器モデルの開発にも拍車がかかります。

最先端医療に触れる知的好奇心を満たすニュースです！


「もしもの時」の医療選択肢が着実に増えているという安心感
科学の進歩が、明日を変える可能性を秘めていることへの希望

結び：小さな顎骨から広がる未来
“ミニ顎骨”の誕生は、 顎骨疾患に苦しむ方々へ現実的な再生治療の道を照らす大きな一歩ですね。
京都大学CiRAの研究は、その先にある明るい未来を信じさせてくれます。

ぜひ、皆さんもこの“しなやかで力強い科学”の進化を、一緒に見守ってくださいね