オリジナル怪談
オフライン
なこ
夜中の2時、男が一人でラーメン屋に入った。
店内には誰もいない。
「ラーメン一杯ください」
店主は無言でラーメンを作り始めた。
しばらくして、男がふと気づいた。
――店主の後ろに、長い女の髪が垂れている。
「……あの、店主さん」
「なんです?」
「後ろ……髪、出てますよ」
すると店主は振り返りもせず、
「……見えましたか」
男はゾッとした。
「え?」
店主は小さな声で続けた。
「この店、昔からラーメンを食べた客のうしろ髪を一本ずつ集めるんですよ」
男が逃げようとすると、椅子の背もたれに何かが絡みついた。
長い髪だった。
「うわっ!」
必死に振り払うと、店主が言った。
「大丈夫ですよ」
「何がですか!」
「まだ髪だけですから」
男が恐る恐る自分の背中を見る。
そこには――
大量の髪の毛と一緒に、白い脂の塊がべったり付いていた。
「……これ、何ですか?」
店主は笑った。
「お客さんの皮下脂肪ですよ」
「なんで!?」
「ここのラーメン、食べると全部ここに付きますから」
男は震えながらラーメンを見た。
すると丼の底から女の声がした。
「……替え玉……いかがですか……」
男は叫んで店を飛び出した。
翌朝。
その店は跡形もなく消えていた。
ただ、そこには一本の長い髪の毛と、
「皮下脂肪増量中」
と書かれた看板だけが残っていたという。
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